第225章 療養（2番目）

病院の廊下で。

塩川ドクターは心の中で笑った。

冬木空に自分の言うことを聞かせるなんて、まさに夢物語だろう。

でも、年の功という言葉があるように！

彼の行動を止める方法は必ずある。

「そうだ」塩川ドクターは突然何かを思い出したように言った。「空さんは私に言わないでくれと頼んだんだけど。」

鈴木知得留は眉をひそめた。

「男のプライドに関わることだから、知らないふりをしてくれないかな。そうしないと私が困るんだ。」

「分かりました」知得留はニワトリのように頷いた。

「それと、他には彼の怪我の回復状態に気を付けてあげてください。足の怪我があるので、無理に立ち上がらないようにね。」塩川ドクターは再度注意した。

「はい、分かりました。」

「用事があるのでこれで失礼します。空さんに何かあったら、すぐに病院に連れてきてください。」

「はい。」

塩川ドクターは更に二、三言付け加えて、立ち去った。

知得留は塩川ドクターの背中を見つめながら、大きなため息をついた。

だから冬木空が突然自分で帰ったのは、自分の体の状態を知っていたから……

二人のうち、どちらが不運なのか分からない。

彼女は道明寺華と一緒に帰った。

新居に戻ると。

華は知得留についていかず、直接下の階の部屋に戻った。

知得留はドアを開けた。

広々としたリビングで、ソファーでぐちゃぐちゃに寝ている北村忠が目に入った。

いびきまでかいている。

知得留は彼を気にせず、2階へ向かった。

ドアを開けると、冬木空が寝室の外のスカイガーデンに座っているのが見えた。

彼女には、冬木空がどうやって上がってきたのか分からなかった。

考えてみれば、おそらく北村忠が背負って上がったのだろう。

彼女は近づいていった。

冬木空は物音に気付いたようで、振り向いて知得留が戻ってきたのを見て、少し微笑んだ。

どんな時でも見る冬木空は、傷だらけの姿でも、やはりかっこいい！

とてもかっこいい！

「どうして退院したの？私、今病院に行ったところなのに。」知得留の口調には、少し不満が混じっていた。

「病院の匂いが好きじゃないんだ。」冬木空は言った。「それに、メッセージを送ったはずだよ。」

「メッセージ？気付かなかったかも。」午前中は父と話をしていて、WeChatを見ていなかった。