第224章 一度好きになれば、命さえ惜しくない！

病室内。

北村忠はじっと冬木空を見つめていた。

彼は冬木空が答えてくれないと、七つの穴から血を流して死んでしまいそうな気がした。

冬木空は言った。「青木太一は何も気付いていなかった。私のミスを見つけたわけでもない。全ては鈴木知得留のせいだ」

「鈴木知得留？」北村忠は再び困惑した。

冬木空の瞳が微かに動いた。

18歳の時、青木太一に何かを見つけられて交通事故で死にかけた。しかし、その事故のおかげで、青木太一の疑いは完全に晴れた。

今は、鈴木家の人々のせいで、青木太一は再び徹底的に抹殺しようとしている。

彼は多くのことを調査したが、鈴木家の件については、まだ手がかりがつかめていなかった。

なぜ青木太一はこれほど鈴木山を標的にしているのか？

鈴木山は彼の知られたくない秘密を握っているのか？

冬木空は深く考え込んだ。

突然の静寂に北村忠は息苦しくなり、大きく息を吸って言った。「冬木空、話を最後まで言えよ。途中で止めるなんて、誰を窒息死させたいんだ！」

冬木空は北村忠を横目で見た。

北村忠がいる状況では、深く考える余裕はない。

彼は北村忠に明確に説明した。「さっき言ったように、鈴木山は青木太一の目の上のたんこぶになった。青木太一は何度も鈴木家を殺そうとしている。そして今、私は鈴木知得留の夫となり、鈴木家の一員となった。青木太一は鈴木山の勢力を多方面から削ぐために、私も殺そうとしている。しかし日本国では、多くの制約があり軽々しく動けない。だから何度も鈴木家の人々を国外に誘い出し、密かに処理しようとしているんだ」

「M国での死骸組織も？」北村忠は尋ねた。「これは青木太一の配下か？」

「今のところ、この組織が青木太一の組織かどうかはわからない。だが、昔のやり方とそっくりだ。彼の組織でなくても、少なくとも彼と深い関係があるはずだ」

「冬木空」北村忠はまだ多くの疑問が残っていたが、一つだけ確かなことがあった。「真相が明らかになる前に手を出すのは、少し性急すぎないか？俺は死ぬのが怖いわけじゃない。どうせ生まれついての下賤な命だ。母親以外に俺の死活を気にする奴もいないだろう。母親だって、俺が死んでも楽しく生きていけるさ。ただ分からないのは、お前みたいな奴が、何をするにも隙のないように考え抜く奴が、絶対的な勝算もないのに、なぜ動こうとするんだ？」