村上紀文のオフィスの外には多くの人が待っていた。
人々が出入りを繰り返す。
村上紀文は夜10時過ぎまで対応に追われた。
最後の一人を見送り、村上紀文は椅子に寄りかかった。
思わず引き出しからタバコを取り出し、火をつけると、濃い煙が立ち込めた。
その時。
オフィスのドアがノックされた。
村上紀文は目を向けた。
秘書が恐る恐る入ってきて、「社長」と呼びかけた。
村上紀文は彼女を見て、「あなたも人事異動の対象のようですね」
「はい」秘書は泣きそうになった。
村上紀文は言った、「何を聞きたいんですか」
秘書は驚いた。
村上紀文はその時少し笑ったように見えた、「今日は一ヶ月分より多く話しましたね。もう話したくありません。リストは決まったんですから、行くべき所へ行けばいいでしょう」