斎藤グループ社長室。
斎藤咲子は人事異動リストを塩川真に渡した。
塩川真は真剣に目を通していた。
斎藤咲子は邪魔をせず、朝食を食べていた。
朝食の量が多かったので、斎藤咲子は一人では食べきれず、根岸峰尾と一緒に食べることにした。
根岸峰尾は食べるのが早く、好き嫌いもなかった。
あっという間に食べ終わり、きちんとソファに座って、ずっと彼女の出勤に付き添っていた。
斎藤咲子は食べるのが遅かったが、斎藤グループに出勤するようになってから、食事のスピードも日に日に上がっていき、時には5分もかからずに一食を済ませることもあった。
彼女は食べ終わると、食器を片付けた。
塩川真はまだリストを見ていたので、斎藤咲子は静かに待っていた。
しばらくして。
塩川真は驚きを込めて言った。「このリストは社長が自ら作成されたのですか?」
「何か問題がありますか?」
「いいえ、全く」塩川真は非常に肯定的に答えた。「社長、人事異動が必要だとおっしゃった時から、私も心の中でこの人事リストを整理していました。しかし、村上社長に任せられたので、私の意見はまだ言わずにいました。ですが、社長がグループに来られて間もないのに、このようなリストを完璧に整理できるとは思いもよりませんでした。グループの職位すらまだ把握していないと思っていたのに。」
これは単なるお世辞ではなく、すべて事実だった。
塩川真も村上社長の人事リストを完全には信用していなかったからだ。現在、村上社長が裏で社長に取り入ろうとしているとはいえ、結局二人は競争関係にあるため、心の中では人事リストを計画していた。少なくとも社長の参考になればと思っていた。しかし、彼が考えていた人材が全て斎藤社長のリストに含まれており、さらに彼が見落としていた人材まで斎藤咲子のリストに載っていたことには驚いた。
彼は思った。みんなが若造だと侮っていたが、いつか目を見張るような結果を見せつけ、誰もが手が届かない存在になるかもしれないと。
斎藤咲子は突然このように褒められ、少し照れくさそうに尋ねた。「修正が必要な箇所はありますか?」