第259章 婚約パーティー(2)斎藤咲子は元々不死鳥だった

宴会の化粧室。

斎藤咲子は化粧直しをしていた。

鈴木知得留は彼女の化粧室のドアを開けて入った。

斎藤咲子は鈴木知得留を見て、甘く微笑んで、「知得留、来たのね」と言った。

「これからは義姉さんって呼んでね」と鈴木知得留は冗談を言った。

斎藤咲子は顔を赤らめた。

鈴木知得留は言った、「さっき外で冬木郷を見たけど、笑顔が止まらないみたいだったわ」

斎藤咲子の顔はさらに赤くなった。

冬木郷の今日の喜びは、本当に隠しようがないほどだった。

さっき来る途中、冬木郷は昨夜一晩中眠れなかったけど、今日は全然眠くない、まるで興奮剤でも打ったみたいだと言っていた。

実は、彼女も同じだった。

昨夜はなかなか寝付けなかったのに、今日は全然眠くなかった。

「前まではあなたと冬木郷が本当に合うのかどうか考えていたけど、今はもうそんな心配はないわ。冬木郷の性格なら、あなたが彼を好きになるのは難しくないと思うわ」と鈴木知得留は笑って言った。

それは前世での斎藤咲子についての印象が根深く残っていたからだった。

前世の斎藤咲子は、本当に強気でクールだった。

今の姿とは全く違っていた。

そして彼女は、今の斎藤咲子の方がより幸せだと感じていた。

斎藤咲子は鈴木知得留の言葉を聞いて、同意して頷いた。「郷のことは、実は全く感情がないわけじゃないの。ただ、この感情が正しいのかどうかわからなかっただけ。でも、これからはきっと良くなっていくと思う」

鈴木知得留は微笑んで、「とにかく、おめでとう」

「ありがとう」

「外を見てくるわ。私の夫を外に放置してきちゃったから、彼一人じゃ不自由だし……」と鈴木知得留は笑った。

なんだか冬木空が自立できない人みたいに聞こえる!

「そうね」と斎藤咲子は急いで言った。「早く行ってあげて、彼を一人でホールに置いておかないで」

「後でまた来るわ」

「うん」

鈴木知得留は部屋を出た。

出る時にもう一度斎藤咲子を見て、この女性が今この瞬間に見せている幸せそうな表情が本物だと感じた。

結局、女性が求めているものって何なのだろう?

こういうことに過ぎないのかもしれない。

鈴木知得留はホールに向かった。

遠くから冬木空と北村忠が一緒に座っているのが見えた。

北村忠は絶え間なく話し続けていた。