第260章 婚約パーティー(3)彼女は一人でも大丈夫、誰も必要としない!(3番目の更新)

婚約披露宴の会場全体。

巨大な高精細スクリーンに、一本の動画が流れていた。

動画の中で、斎藤咲子は服装が乱れた状態で斎藤邸の正門前にいた。

動画の画質はそれほど鮮明ではなく、明らかにスマートフォンで撮影されたものだった。

そんな解像度でも、その人物が斎藤咲子であることは明らかで、そして彼女にキスをしていた人物は、冬木郷ではなかった……

会場全体が爆発したかのように騒然となった。

司会者は慌てて、スタッフに「止めて、止めて!」と叫んだ。

その慌てぶりが、会場をさらに混乱させた。

動画は突然切断された。

その瞬間、会場は逆に静まり返った!

全ての視線が、ステージ上の新郎新婦に注がれた。

斎藤咲子の手は、まだ冬木郷に握られていた。しっかりと握られていた。

しかしその瞬間、斎藤咲子は冬木郷の温もりを感じられなくなっていた。