鈴木山の書斎で、友道の話に、皆が沈黙した。
しばらくして。
鈴木山が口を開いた。「知得留、お前はどう思う?」
「私も友道と同じ意見です」と鈴木知得留は言った。「お父さん、私たちは青木さんが私たちの家に好意的だと信じ込んでいて、青木さんのすることは全て私たちの家にチャンスを与えるためだと思っていました。でも、お父さん、青木さんが私たちの家に与えたお菓子は、本当に手の届くものだったでしょうか?」
鈴木山の表情が険しくなった。
鈴木知得留は続けた。「青木さんはお父さんにS国のプロジェクトを与えました。途中で何が起きたかは別として、最初から与えられたこのプロジェクトはほぼ完遂不可能なものでした。それなのに、完遂できれば相続人になる口実になると言いました。でも、お父さん、私たちにそれが完遂できたでしょうか?青木さんが私たちにチャンスを与えたというより、むしろ難関を与え、お父さんの能力を疑う口実を作ったのではないでしょうか!」
鈴木山の表情は、さらに暗くなった。
傍らの友道は、自分の考えと一致するかのように、頷き続けていた。
「今、プロジェクトの件は置いておきましょう。青木さんがこのタイミングでお父さんに秋山文雄と争わせようとしているのですが、お父さんは考えたことがありますか?商業管理部での二人の首席の勢力は拮抗していて、彼と争ってお父さんが勝つ確率はどれくらいあるのでしょうか?青木さんがこうさせるのは、競争相手を排除するためなのか、それとも両者を共倒れさせて漁夫の利を得ようとしているのか?!」鈴木知得留は反問した。
父親に問いかけた。なぜ当時、彼らはこれらのことに気付かなかったのか。
「青木さんがこうする目的は何だ?」鈴木山は娘を見つめた。「私を次期相続人の踏み台にするためだ」
「そうです」鈴木知得留は断言した。「このように、青木太一は私たちに相続人になれると思わせただけで、実際には、お父さんを利用して、彼が選んだ相続人のために道を整えているだけなのです」
「楠木天理だ!」鈴木山は確信した。「私と秋山文雄以外では、楠木天理しかいない!」
鈴木知得留は首を振った。
違う。
しかし、今は父親にどう説明すればいいのか分からなかった。
実際、詳しく説明する必要はない。青木太一の悪意を理解させ、彼に振り回されないよう警戒させればいい。