第265章 たぶん、私たちは誰も斎藤咲子の運命の人ではない（2）

「結構です！」冬木郷は直接拒否した。

村上紀文は彼を見つめた。

「斎藤咲子は既に私の両親の前で完全に後戻りできないところまで話してしまいました。あなたがどれだけ言っても、両親には二人が共謀して騙しているように思われるだけです。私でさえ、一瞬、あなたと斎藤咲子が演技をしているのではないかと思ってしまいました」冬木郷は言った。「もし私が斎藤咲子の人柄を知らなかったら、あなたの言うことは全て作り話だと思っていたでしょう！」

村上紀文の表情は冷たかった。

「だから両親を説得することはできません。それに、仮に両親が信じたとしても何が変わるでしょうか？斎藤咲子とあなたの関係が清らかだったという事実は、世界中が知ることになってしまいました。両親も面子を保てず、斎藤咲子を受け入れることはできないでしょう。いいでしょう、それらが重要でないとしても、私は家族と対立してもかまいません。実際、私は気にしていません。斎藤咲子のためなら喜んでそうします。しかし...斎藤咲子は両親の前で、はっきりと私たちに告げました。彼女は私を愛していない、最初から最後まで、私に対して感情を持ったことはないと」