第267章 これほどまでに尽くすのは、私のことが好きだからなの?(2更)

北村系副部長室。

北村忠は椅子から立ち上がり、窓際に歩み寄って、一本のタバコを吸った。

世間は村上紀文を渣男だと思っているが、おそらく彼だけが村上紀文の気持ちを理解できるだろう。

村上紀文のこの行動は、彼自身がこれからしようとしていることと同じだった。

そしてなぜそうするのか、その目的は彼らにはよくわかっていた。

タバコを一本吸い終わると、また電話を手に取った。

村上紀文は執務室で、手元の仕事を処理していた。

この一週間、外部のニュースは沸き立ち、彼への疑念は増すばかりだった。しかし彼は毎日出勤し、社員たちの異様な視線に耐え、依然として集団の大小の会議を主催し続けた。他人が彼をどう見ようと、斎藤咲子でさえ村上紀文が何をしようとしているのか、何をしているのかわからなかった。

村上紀文は北村忠からの着信を見て、電話に出た。「北村」

引っ越して一緒に住まなくなってから、彼らはほとんどプライベートで連絡を取り合うことはなかった。

しかし、この期間の醜聞のせいで、逆に北村忠との関係が再び親密になっていた。

理屈の上では、この時期の彼は皆から見放され、誰もが巻き込まれることを恐れて遠ざかるはずなのに、北村忠はこのタイミングで積極的に彼に連絡してきた。こんな図々しいことができるのは、北村忠のような無神経な人間だけだろう。

北村忠が言った。「お前のニュースを下げることにした」

村上紀文は率直に答えた。「必要ない」

彼は気にしていなかった。

「お前のためじゃない、俺自身のためだ」と北村忠は言った。「俺も動き出すつもりだ」

村上紀文は眉をしかめた。

「こう言えばわかるだろう。お前のニュースを消すわけじゃない。もっと大きなニュースでお前のニュースを押し下げるんだ。感謝してくれよ?」と北村忠は尋ねた。

村上紀文は口を開いた。「ありがとう」

「お前ってなんでそんなに冷たいんだ?話し方まで硬くて。本当に斎藤咲子を強姦したのかも怪しくなってきたぞ。俺は前から、お前が加賀千明との婚約を解消したのは、性的不能で相手が不満だったからだと思ってたんだぞ!」北村忠は遠慮なく、真面目くさって言った。

どう見ても村上紀文がそういう方面に興味があるようには見えなかった!

村上紀文は少し黙っているようだった。