第279章 鳳里道川の旅(1)蛇を誘い出す

道明寺華はようやく家に帰った。

北村忠が彼女を送り届け、丁重にお礼を言った。

道明寺華は彼が何のお礼を言っているのかよく分からなかったが、お礼を言われたからには受け入れることにした。

彼女は完全に電池が切れた携帯電話を取り出し、充電を始めた。

そして急いでシャワーを浴び、きれいな服に着替えた。

浴室から出ると、すぐに充電中の携帯電話を手に取り、鈴木知得留からの多くの不在着信を確認して折り返した。

「華」鈴木知得留は少し興奮した様子で呼びかけた。

「ごめんなさい、携帯の電池が切れてしまって」道明寺華は謝った。

「大丈夫?今どこにいるの?」

「大丈夫よ、もう家に着いたわ」

「それならよかった」鈴木知得留は言った。

「今朝、出勤に送れなくてごめん。今から迎えに行くわ」

「いいの。ゆっくり休んで。今夜は部署の飲み会があるから、帰りは遅くなるわ。必要があったら電話するから」