第278章 道明寺華、これからは二人で生死を共にする兄弟だ(2話)

北村家の方々は冬木邸を後にした。

北村忠が運転し、道明寺華は相変わらず助手席に座っていた。

広橋香織は北村雅の車には乗らなかった。二人の夫婦の関係は...関係とも呼べないものだった。

彼女は自分の息子の車に乗り込んだ。母親として、幼い頃から北村忠とは友達のように接してきたが、たとえ友達でも、はっきりさせるべきことがあると感じていた。

車は幹線道路を走っていた。

北村忠は心が重く、黙って前を見つめていた。

道明寺華はいつも通り寡黙だった。

広橋香織は息子の様子を見て、「どこかに寄りましょう。あなたたちと話があるの」と言った。

「あなたたち」と言ったのであって、「忠」とは言わなかった。

北村忠は頷いた。

彼のことは、幼い頃からのことも含めて、母親に隠し事はしたことがなかった。

車は高級カフェに向かった。

北村忠は母親と道明寺華と共に、カフェの個室に入った。

個室からの眺めは素晴らしく、目の前の床から天井までの窓の下には東京の堀川が広がり、陽光が水面に反射してダイヤモンドのように輝いていた。

北村忠は窓際に立ち、その瞬間、何か皮肉なものを感じた。

今の彼の気持ちは底をついているのに、まだ景色を楽しむ余裕があるなんて。

母親の「座りなさい。きちんと話をしましょう」という声が聞こえた。

北村忠は振り返って座った。

道明寺華も一緒に座った。

道明寺華は自分がただの脇役だと感じていて、なぜ最初から最後まで自分が関わらなければならないのか分からなかった。

そして今、彼女は少し眠くなっていた。昨夜、浜辺で確かに眠れなかった。

野外が大好きなはずなのに、なぜか寝つけなかった。

彼女は眠気をこらえながら、目の前の母子を見つめていた。

道明寺華は北村忠の母親を初めて見た気がした。たぶん初めてだろう。以前見かけたことがあっても気に留めていなかった。今見ると、母親がとても若く見え、言われなければ北村忠の姉だと思うほどだった。

広橋香織が切り出した。「忠、はっきり言って。あなたと道明寺華はいったいどういう関係なの?」

「友達です」

「恋人?」

「ただの友達です」

広橋香織はやはりと思った様子で、「つまり、あなたがしたことは全て冬木心のため?」