祠堂には人が行き交っていた。
北村忠はいつの間にかここに現れ、冬木空に向かって直接歩み寄った。「意外だったでしょう?」
冬木空は北村忠の方を振り向いた。
北村忠は冬木空の険しい表情を見つめた。
彼は鈴木知得留の方を見た。
なぜこいつの表情がこんなに悪いのか分からなかった。
ずっと青木太一の地位を奪いたがっていたはずなのに、今青木太一が死んだのに喜ばないのか?!
それに。
青木太一という脅威が除かれたことで、彼らの危険も減ったはずだ。
酒を飲んで祝うべきなのに!
北村忠は単純に考えていたが、冬木空が考えなければならないのは、誰が背後でこの全てを操っているのかということだった!
以前は青木太一が策略を練っているという明確な標的があったが、明らかに。
非常に明らかに、青木太一は誰かの計略にはまったのだ!
その人物は誰なのか?!
冬木空の目が鋭く光った。
彼は田村厚を厳しい目で見つめ、その時の彼の深い悲しみの表情を見た後、視線を金田貫一に向けた!
もし間違っていなければ...青木太一は一生人を出し抜いてきたが、最後は自分の側近の犬に裏切られたのだ!
金田貫一は冬木空の視線を感じた。
彼は目を向け、冬木空と視線を合わせた。冷たい視線で、冬木空に何の情報も与えず、彼は身を翻して立ち去った。
冬木空の表情が少し変化した。
この時、金田貫一は田村厚の方へ歩み寄り、彼を地面から助け起こした。
しかし田村厚は立ち上がりたくなかった。
「晴人、まず立ちなさい」金田貫一が命じた。
田村厚は仕方なく立ち上がった。
この時、祠堂にいる全員が金田貫一の行動を見つめていた。
ほぼ東京の有力者全員が集まっていた。
四大首席はもちろんのこと、内部情報を受けて真っ先に駆けつけたはずだ。他の三大財閥八大企業のトップも祠堂に姿を見せ、さらに重要なことに、政府の代表も来ており、しかも地位の高い人物だった。
金田貫一は田村厚の傍らに立ち、口を開いた。「皆様、青木さんの追悼会にお越しいただき、ありがとうございます。私は金田貫一、青木さんの首席秘書官です。青木さんを代表して、皆様のご来場に心より感謝申し上げます。天国の青木さんも、きっと皆様に感謝していることでしょう!」
彼が話し始めると。
その場は静まり返り、哀悼の音楽も止まった。