第293章 もう家族を守り切れない!(2話、特典あり)

車内。

冬木空は振り向かなかった。

上野和明は助手席に座っていた。

二人が半秒の沈黙の後、冬木空は突然車から小型の監視カメラを取り出した。

上野和明は顔色を変えた。

冬木空は言った、「お前のだろう!」

上野和明は冬木空を睨みつけた。

彼が知っているとは。

華から北村忠の携帯のケースに仕掛けたと聞いていたが、こんなに早く見つかるはずはないと思っていた。

「持って帰れ」冬木空は言った、「俺はお前らが思っている以上の能力がある。だから監視しようとするな。監視できると思うなよ」

上野和明は小型カメラを手の中で握りしめた。

確かに。

以前は冬木空の腕が立つことしか知らなかったが、こんなに深く隠していたとは。

青木太一を追い詰めることができるなんて。もし彼がいなければ、今頃青木太一は死体になっていただろう。