鈴木知得留はパソコンの画面を見つめていた。
斎藤咲子がこんなに積極的に食事に誘ってくるなんて珍しい。
彼女は返信した。「今夜は何かテーマがあるの?」
「別に、ただ一緒に食事がしたくて。時間ある?」
「今夜は特に予定ないかな」と鈴木知得留は答えた。
「じゃあ、今夜で決まりね」
「うん」と鈴木知得留は承諾した。
斎藤咲子は画面上の返事を見て、口元に笑みを浮かべた。
確かに特別なテーマはなく、ただ単純に鈴木知得留と会いたかっただけだ。友達なのだから、定期的に連絡を取り合うべきだろう。
彼女の瞳が微かに動いた。
塩川真が外からノックして入ってきて、丁重に彼女に「社長、面接会まであと10分ですが、直接面接なさいますか?」
「ええ」と斎藤咲子は頷いた。
「承知いたしました」
塩川真は恭しく退室した。