第302章 もう自分を偽って彼女の機嫌を取る必要もない!

鈴木知得留はパソコンの画面を見つめていた。

斎藤咲子がこんなに積極的に食事に誘ってくるなんて珍しい。

彼女は返信した。「今夜は何かテーマがあるの?」

「別に、ただ一緒に食事がしたくて。時間ある?」

「今夜は特に予定ないかな」と鈴木知得留は答えた。

「じゃあ、今夜で決まりね」

「うん」と鈴木知得留は承諾した。

斎藤咲子は画面上の返事を見て、口元に笑みを浮かべた。

確かに特別なテーマはなく、ただ単純に鈴木知得留と会いたかっただけだ。友達なのだから、定期的に連絡を取り合うべきだろう。

彼女の瞳が微かに動いた。

塩川真が外からノックして入ってきて、丁重に彼女に「社長、面接会まであと10分ですが、直接面接なさいますか?」

「ええ」と斎藤咲子は頷いた。

「承知いたしました」

塩川真は恭しく退室した。