第310章 私は年を取っていない、毎日滋養強壮を煎じているんだ!

広々とした大広間。

北村忠は、父が母に向かって突進していくのを見ていた。

広橋香織は警戒した表情で北村雅を見つめ、彼が千鳥足でありながら素早く動き、一気に彼女をソファーに押し倒すのを見た。

北村忠は目を丸くして見つめていた。

「離れなさい!」広橋香織は北村雅を押しのけた。

広橋香織は怒りで顔が青ざめていた。

北村忠はそばでただ見ているだけだった。

「忠!」広橋香織は北村雅にどうしようもなくなり、傍観している北村忠を呼んだ。「来て、お父さんを連れて行って、早く!」

「忠!」広橋香織は叫んだ。

まさに嫌悪感と絶望感そのものだった。

北村忠は自分の耳をこすった。

彼は前に出て、酔っ払った父親を引っ張り上げた。

広橋香織はソファーから立ち上がり、北村雅を嫌悪感たっぷりの目で見つめ、怒りと絶望に満ちていた。

北村忠に抑えられながらも、北村雅は体をよじらせ、また近づこうとする様子で、口から悪意のある言葉を吐いた。「広橋香織、言っておくが俺はまだまだ若いんだぞ!」

広橋香織は北村雅の言葉を聞いて、さらに表情が険しくなった。

彼女は北村雅を睨みつけ、傍らで完全に面白がっている北村忠を一瞥すると、怒りを抑えきれず、手を振り払って立ち去った。

北村雅は広橋香織の背中を見つめながら、まだ大声で叫び続けていた。「広橋香織、待て、待てるものなら待ってみろ...」

広橋香織はすでに去っていた。

彼女が去ってずいぶん経っても、北村雅はまだ呟き続けていた。

北村忠は父親も大変だなと思った。

彼は再び父親を背負って二階に運んだ。

一体どれだけ飲んだのか、こんなに酔っ払うなんて。

北村忠は父親をベッドに寝かせ、真っ赤な顔で呼吸も乱れがちな様子を見て、仕方なくスーツを脱がせ、ズボンを脱がせ、タオルで体を拭き、顔を洗い、寝かしつけた。

全てを終えて、まさに立ち去ろうとした時。

北村雅が突然ベッドから起き上がった。

まっすぐに座り、北村忠を見つめていた。

北村忠は父親のその様子に驚いた。

これは酔っ払い暴れの前兆だ。

「忠」北村雅は息子を大声で呼んだ。

北村忠はその場に立ち尽くした。

「お前の母さんは?」

「隣で寝てます」

「ここに来させろ」北村雅は命令した。

「来ないと思います」