第327章 道明寺華の離去(2)無断で去る

空港。

鈴木知得留と上野和明が到着した。

君島御門は上野和明を見つめた。

鈴木知得留は率直に言った。「父が私一人で外出するのを心配して、兄に一緒に付き添わせたの」

君島御門は軽く笑った。

そんな言い訳は誰も信じない。

しかし、彼もそれを暴露する必要はなかった。

彼は鈴木知得留に危害を加えるつもりはなかったので、彼女がボディーガードを連れてくるかどうかは気にしなかった。

「こちらへどうぞ」と彼は言った。

君島御門のプライベートジェット。

彼は鈴木知得留を機内へ案内した。

君島御門も当然一人ではなく、機内には黒いスーツ姿の男が10人以上立っており、彼の側近として2人が常に付き添っていた。

鈴木知得留は君島御門と並んで座った。

君島御門は言った。「今回の出張は一日や二日では終わらないかもしれません。鈴木部長、心の準備をお願いします」

「はっきり言ってください。このプロジェクトが完了するまで戻れないということですよね?」

「帰省休暇はありますよ」

鈴木知得留にはわかっていた。今回の出張は単にあの数人の困った村民を説得するだけではなく、鳳里道村の開発全体を確実に進め、成果を上げることが目的だということを。

彼女は、自分が君島御門に巻き込まれたのだと推測した。

彼女はそれ以上質問しなかった。

政府の事情には、彼女はいつも関与しないようにしていた。

彼女にとって、商業管理部だけでも手一杯で、政府の争いにまで関与する能力はなかった。

君島御門も特に説明はしなかった。

多くのことは互いに分かっているが、見て見ぬふりをすることこそが、生き残る術なのだ。

……

東京は相変わらず華やかだった。

北村忠は道明寺華の家を出た。

昨夜起こったことは...言葉にできないほど、口にも出せないことだった。

彼が分かっているのは、道明寺華に縛られて暴行されたこと、そして目が覚めた時には彼女がいなくなっていたということだけだった。

部屋は空っぽで、体を縛っていた縄も消えていた。

彼は道明寺華の家からどうやって出てきたのかも分からず、雷に打たれたような衝撃的な事実をどうやって受け入れたのかも分からなかった。

今でも思い出すたびに、頭を壁に打ち付けて死にたくなるほどだった。

重い足取りで歩いていると、気がつけば冬木心のマンションの前にいた。