第325章 中秋おめでとう(2話)

道明寺華は車を団地の外のスーパーマーケットに停めた。

二人は一緒に車から降りた。

二、三歩歩いたところで。

突然、大勢の記者たちが押し寄せてきた。

鈴木知得留は一瞬固まった。

道明寺華は急いで鈴木知得留を後ろに庇った。

記者たちは彼らを取り囲んだ。

「道明寺さん、あなたと北村忠はいったいどういう関係なんですか?昨日、北村さんが記者を殴ったのは冬木心のためだと聞きましたが、今日も北村さんが冬木心の送り迎えをしているところを撮影されましたが?北村さんは冬木心に未練があるんですか?!」記者たちは矢継ぎ早に質問を浴びせた。

道明寺華は答えなかった。

記者たちはさらに尋ねた、「道明寺さん、お答えください。あなたと北村忠は本当に恋人同士なんですか?」

「北村さんは冬木心と付き合っているんですか?あなたを捨てたんですか!」

道明寺華は目の前の記者を押しのけた。

彼女にはこんな質問に答えるつもりなど全くなかった。

しかし記者たちは諦めなかった。

「冬木心と北村さんが婚約中の時に、北村さんはあなたと付き合っていて、今は婚約が解消されて、また冬木心のところへ行くなんて、北村さんはなんて下劣なんでしょう。道明寺さん、まだ彼と一緒にいるつもりですか?!」

道明寺華はこの時、ただ鈴木知得留を守って立ち去りたかった。

鈴木知得留は我慢できなくなり、彼女を守っていた道明寺華を後ろに引っ張った。

道明寺華は一瞬驚いた。

鈴木知得留は大声で言った、「記者だからといって、事実を歪めて好き勝手なことを言っていいんですか?」

全ての記者が鈴木知得留を見つめた。

鈴木知得留は厳しい口調で言った、「道明寺華と北村忠のことは、彼ら自身の問題です。あなたたちに説明する必要などありません!」

「私たちは善意で忠告しているだけです。北村さんのような悪い男は、華さんには相応しくありません」ある記者が正義漢を装って言った。

「そうです。北村さんは道明寺さんがゲームが上手いから、お金を稼がせたいだけなんです。本気で好きなわけじゃありません。北村さんのような御曹司なら、好きになるのは綺麗な人でしょう。華さんは単なる遊び相手に過ぎないんです!」別の記者が同調した。

「では、名誉毀損で訴えられたいんですか?!」鈴木知得留は目を上げ、威厳のある様子で言った。