朝食を済ませた。
鈴木知得留は出勤に向かった。
道明寺華は駐車場で彼女を待っていた。
車は商業管理部へと向かった。
「昨夜、北村忠が私たちの家にいたの」と鈴木知得留は言った。
道明寺華は「ああ」と短く返した。
「彼、酔っていたわ」と鈴木知得留は道明寺華を見つめた。
道明寺華は相変わらず無表情だった。
鈴木知得留は諦めたように言った。「いつ出発するか決まった?」
「まだ決めていない」と道明寺華は答えた。
少し名残惜しかったから。
そして、自分があとどれだけ生きられるかも分からなかった。
鈴木知得留もそれ以上は聞かなかった。
車は商業管理部に到着した。
鈴木知得留は自分のオフィスへと向かった。
ドアを開けた瞬間。
彼女は立ち止まった。
鈴木知得留は左右を見回した。
君島御門が彼女のオフィスのソファに座り、口元に笑みを浮かべていた。