第323章 彼女はこの幸せな時間を大切にする(3更)

別荘の中。

斎藤咲子は狂ったように体をよじらせた。

彼女は力を込めて、村上紀文を押し出した。

村上紀文はバランスを崩し、数歩後ずさりして床に倒れた。

斎藤咲子は激しく唇を拭いながら、「村上紀文、酔って暴れないで」と言った。

村上紀文は床に倒れたまま動かなかった。

斎藤咲子は村上紀文の傍から離れた。

離れる際、腹立たしげに村上紀文を蹴った。

床に倒れた村上紀文は少し笑ったように見えた。

斎藤咲子は村上紀文が本当に酔いつぶれているのだろうと思った。

彼女は親切心から助け起こすこともせず、むしろ酔い死んでくれればいいと思った。

……

北村忠も酔っていた。

泥酔状態だった。

彼は家に帰らなかった。

どうせ家の親父も自分のことを気に入っていないのだから、帰る意味がない!

どこに行けばいいのかもわからなかった!