第320章 胸が痛い、ますます痛くなる(3更)

道明寺華は冬木心を背負って走り、足取りは軽やかだった。

警備員は道明寺華の様子を見て完全に驚いていた。

この人は罪を逃れようとして、被害者まで連れ去ったのか?!

数秒間呆然とした後、数人の警備員は急いで追いかけ、警察に通報した。

道明寺華のスピードはとても速かった。

冬木心は道明寺華の背中で、痛みのあまり言葉も出なかった。

今日ショッピングモールでファッションショーがあり、午後2時から始まる。今は衣装の準備をしなければならず、彼女がデザインした服に問題が生じたため対処する必要があった。そのため急いでいて、ホテルの玄関に停まっていた車が突然動き出したことに気付かず、次の瞬間には地面に倒れていた。

彼女は朦朧とする中で、自分を轢いた人が道明寺華だと分かり、今も道明寺華が自分を背負って速く走っていることを認識していた。