第337章 酒を飲んで偶然の出会い

北村忠と村上紀文は、この半年の間、時々一緒に飲みに行くようになった。

多くを語ることもなく、ただひたすら酒を飲む。

二人ともかなり暇そうだった。

とにかく時間はたっぷりあった。

北村忠はグラスの酒を一気に飲み干し、「村上、これからどうするつもりだ?」と尋ねた。

村上紀文は北村より上品に飲んでいたが、実際には北村と同じくらいの量を飲んでいた。

「その日暮らしさ」と彼は答えた。

「こんなに長い間、まだ斎藤咲子とこのままでいるつもりか?」

「違う」村上紀文は即答した。「俺と斎藤咲子の間には何もない」

「何もないのに、なぜ斎藤グループに残っているんだ?」

「自分がどこに行けばいいのか、まだ分からないからだ」村上紀文は酒を飲みながら答えた。

「認めたくないだろうが、やっぱり斎藤咲子のためだろう」北村忠は確信を持って言った。