「塩川ドクターに病衣があるか聞いてきます」と言って、鈴木知得留はドアの方へ歩き出した。
「鈴木知得留!」冬木空が彼女を呼んだ。
久しぶりに彼が自分の名前を呼ぶのを聞いた。
この瞬間、明らかに怒りが込み上げていた。
鈴木知得留は振り返り、挑発的な表情で彼を見つめた。
「そんな格好で外に出ようとするな」冬木空は歯を食いしばって言った。
鈴木知得留は明るく笑って、「じゃあ、夫君は私がどうやって服を探しに行けばいいと思うの?」
「こっちに来い」冬木空は命令した。
このスチール製の保守的な男。
鈴木知得留は口を尖らせながら、ゆっくりと彼の方へ歩いていった。
ベッドに近づいた瞬間。
冬木空は突然鈴木知得留を抱き寄せた。
鈴木知得留は悲鳴を上げた。
次の瞬間、バスタオルが緩んで...
「冬木空、この変態!」鈴木知得留は叫んだ。
「動くな」冬木空の表情が少し変わった。
「離して」鈴木知得留は全く聞く耳を持たなかった。
「これ以上そうされると、失礼を承知で...」冬木空の息遣いが荒くなってきた。
「...」
鈴木知得留は思わず罵りたくなった。
なぜ毎回、乱暴な行為をこんなに上品に言い表すの?!
知らない人が聞いたら、私が理不尽な振る舞いをしているように思われてしまう。
冬木空が毎回どれだけ...言葉では表現できないことをするか、誰が知るというの。
鈴木知得留はバスタオルを引っ張った。
冬木空はただそんな彼女を見つめていた。
鈴木知得留は言った、「結局服はあるの?」
「ある」冬木空は言った、「北村忠に持ってきてもらった」
「どこに?」
「クローゼットだ」
鈴木知得留はバスタオルを巻いたままベッドから降りた。
降りた瞬間。
誰かが深いため息をついた。
しばらくぶりの再会は新鮮な恋のよう...
鈴木知得留は顔を赤らめながらVIP病室専用のクローゼットへ向かった。
クローゼットの中には冬木空の服が整然と並んでいて、彼女は大きめのTシャツを選んだ。基本的に冬木空のTシャツは彼女の太もも中部以下まで届くので、十分に隠せる。
これは...
下着はどうしよう?
彼女は振り返って冬木空を見た。
冬木空の視線が常に彼女の体に向けられているのに気付いた。
しなやかな体に。
鈴木知得留の顔が再び赤くなった。