鈴木知得留は塩川について病院に入った。
病院は独立した建物で、とても大きかった。
鈴木知得留は自分と塩川の足音だけを聞いていた。その音は、静かな病院の中で一歩一歩響き渡っていた。
その瞬間、自分の心臓の鼓動までもが、一拍一拍と絶え間なく響いているように感じた。
彼女は塩川に冬木空の状態を尋ねなかった。
塩川も彼女に何も言わなかった。
彼女はただ塩川について行き、ついに冬木空の病室に着いた。
ドアが開いた。
冬木空は大きな病床に横たわっており、ベッドには多くの医療機器が取り付けられていて、見るからに深刻な様子だった。
冬木空は酸素マスクを付けており、全体的に衰弱した様子で横たわっていた。
鈴木知得留は自分に言い聞かせていた。冬木空は絶対に大丈夫だ、心臓が再発することはない、これは全て彼の目的のための偽装だと。しかし、このように病床に横たわる冬木空を目の当たりにして、彼女は深く恐怖を感じた。