第341章 夫は大きな男の子が欲しい(2番目)

北村忠は彼の長々とした話に慣れていたので、村上紀文の沈黙は金だった。

彼は伸びをして言った。「手術の同意書にもサインしてもらったし、もう帰るよ。でも、さっき兄貴が言ったアドバイスをよく考えてみてくれ。俺は斎藤咲子がまだお前のことを諦めていないと思うんだ。もし本当に彼女のことが好きなら、積極的になってみろよ。もしかしたら、二人の関係を修復できるかもしれない。」

彼とは違って、始まりさえなかったのに、即座に判決を下されてしまった。

北村忠は去っていった。

村上紀文は一層沈黙を深めた。

上腹部はまだ激しく痛んでいたが、今はその痛みも心臓の鼓動の速さには及ばないようだった。

もし……

もし斎藤咲子がまだ自分のことを好きだったら……

その瞬間、彼はそれを信じる勇気さえなかったが、同時にその可能性に心躍らせていた。

彼は唇を固く結び、少しずつ、狂おしい心を落ち着かせようと努めた。

……

北村忠は村上紀文の病室を出て帰ろうとした。

考えてみれば、せっかく病院に来たのだから、冬木空というあの老狐を見舞っておこうと思った。

昨夜は邪魔するなと言われた。

何だよ、来るなって。

そんなことを言われると余計に好奇心が湧いてくる。

彼は病院の超VIP区域に向かい、独立棟の病室の警備員は既に彼のことを覚えていた。

北村忠は大きな足取りで冬木空の病室へと向かった。

やっぱりな。

冬木空が彼に会わない理由なんて。

結局は鈴木知得留という女のためだったんだ。

病室の中で鈴木知得留と冬木空を見つけた。冬木空はベッドに横たわり、目を離さずに鈴木知得留を見つめていた。

鈴木知得留は傍らに座って果物の皮を剥いていたが、その剥き方があまりにも下手で見ていられないほどだった。それでも冬木空の目は愛に満ちていた。

独身者をこんなに虐めなくてもいいだろう。

彼は不機嫌そうにドアを開けた。

鈴木知得留と冬木空は同時に振り向いて彼を見た。

北村忠は近寄ると、鈴木知得留が苦労して剥いたリンゴを一つ掴み、一口かじった。

鈴木知得留は呆れた。

久しぶりに会ったのに、北村忠は相変わらず子供っぽい。

北村忠は美味しそうに食べながら、得意げに言った。「お前の奥さんが剥いたリンゴを食べてやるぞ。殴ってみろよ!」

冬木空は北村忠を横目で見た。