第362章 斎藤咲子、お前の良心は痛まないのか?(3更)

北村忠は村上紀文の病室に入った。

村上紀文の事故を知ってから、何度か見舞いに来ていた。

毎回会えたのは村上紀文の母親だけで、斎藤咲子には一度も会えなかった。

ある時、医師が村上紀文の救命処置をしているところに遭遇し、その様子に心を動かされた。何度も斎藤咲子に連絡しようと思ったが、村上紀文が本当に死んでしまうかもしれないと恐れていた。しかし、そのような時は連絡するのではなく、斎藤咲子が自ら来るべきだと固く信じていた。

村上紀文は幸運にも死を免れた。

しかし今の状態は、死んでいるのとあまり変わらないかもしれない。

先ほど、ドアの外で母親が彼に話しかけているのを聞いた。

心の中の思いをどう表現すればいいのか分からなかった。

ただ、村上紀文のような人間が生きているのは、本当に悲しいことだと感じた。