第365章 北村家へ(3更)

鈴木知得留は夫の意見に同意した。

北村忠に強制はできない。

「じゃあ、忠にもう少し時間をあげましょう。今の華は自分でも忠のことをどれだけ好きなのか気づいていないかもしれないから、一人でも大丈夫だと思うわ。ただ、華は妊娠や出産の意味をあまり理解していないから、誰かに付き添ってもらう必要があるわ。家政婦さんを雇おうかしら」

「それは必要ない」と冬木空は率直に言った。「華が忠の子を妊娠していることを忠の母親に伝えれば、彼らは自然と華の面倒を見るだろう」

「さっきまで忠を追い詰めるなって言ってたのに、そんなことしたら忠の両親がすぐに結婚させようとするでしょ!」

「そうはならない」と空は言った。「北村雅は忠を殴るかもしれないが、広橋香織は息子のことをよく分かっている。きっと私たちと同じような対応をするはずだ。でも華は忠の子を宿しているんだから、彼らには華の面倒を見る義務がある」