第369章 陰謀(1)離婚失敗

広橋香織は別荘で北村雅を一日待った。

案の定。

結局、ドタキャンされた。

広橋香織の表情は良くなかった。道明寺華は人の感情がますます分かるようになってきたようだ。

彼女はずっと静かに広橋香織の側にいた。

6時過ぎ。

区役所はもう閉まっていた。

広橋香織は別荘の大きな置き時計を見つめ、表情は冷たかった。

別荘の使用人が恭しく、「奥様、鈴木知得留様がいらっしゃいました。華様に会いに来たとのことです」

「ええ」広橋香織は頷いた。

使用人は退出した。

しばらくして、鈴木知得留がホールに現れた。

広橋香織は長年の経験で、人との付き合い方を完璧に身につけていた。

彼女は微笑みを浮かべ、「知得留」

「おばさま」鈴木知得留も微笑んで、「突然お邪魔して、失礼いたします」

そう言いながら、広橋香織への手土産を差し出した。