第374章 陰謀事件(6)重なる陰謀

北村忠は急いで車を走らせ、狂ったように冬木心のマンションへと向かった。

路上駐車が可能かどうかなど気にもせず、アクセルを踏んで急停車し、車のドアを開けて中へ駆け込んだ。

彼は激しく冬木心の部屋のインターホンを押し続けた。

部屋の中からは何の反応もない。

すぐに電話を取り出して掛けるが、電源が切られたままだった。

彼は歯を食いしばった。

先ほど彼に電話をかけてきた相手にかけ直すが、そちらも電源が切られていた。

北村忠の表情は険しかった。

彼は突然、壁を強く殴りつけた。大きな音が響き、手の甲が真っ赤に腫れ上がった。

一体誰だ?!

一体誰が冬木心を誘拐したんだ?

こんな時に、こんな重要な時期に。

彼は歯を食いしばった。

警察に通報すべきか?

もし通報して...人質が殺されたらどうする?