北村忠は最速で車を北村邸まで走らせた。
彼は屋敷の中へ駆け込んだ。
道明寺華は毎日、母親と一緒に過ごしていた。
広橋香織は口には出さなかったが、実は道明寺華のことを気に入っているのが見て取れた。
二人はソファに座ってテレビを見ていた。
北村忠が現れると、二人とも彼を見つめた。
この二日間、彼が少し様子がおかしかったことに気付いていた。
「道明寺華、俺と来てくれ」北村忠は直接彼女の手を引いた。
道明寺華は訳が分からない様子だった。
広橋香織は道明寺華の手を掴んで、「忠、何をするの?」
「本当に大事な用事なんだ」
「言っておくわよ、道明寺華と赤ちゃんに何かあったら、親子の縁を切るわよ」
「母さん、何を考えているんだ?!」北村忠は呆れて、「華に何かするつもりなら、とっくにやってるよ」