第376章 道明寺華の早産、息子誕生

病院。

北村忠は手術室の外で少しイライラしながら待っていた。

廊下に座り、頭を抱えながら、心が死にそうなほど苦しかった。

彼の脳裏には道明寺華の姿しかなかった。全て彼女の...耐え忍ぶ姿だった。

廊下に突然、急ぎ足の音が響いた。

北村忠が振り向くと、慌てて駆けつけてきた広橋香織の姿が見えた。冷静を装っているものの、不安を隠しきれない様子だった。

広橋香織は北村忠の前で足を止めた。

「母さん」北村忠が口を開いた。

「パン!」広橋香織は北村忠の頬を激しく叩いた。

北村忠は母親を見つめ、その瞬間まるで叩かれて呆然としたかのように、反応できなかった。

「華は?」広橋香織は北村忠の気持ちなど気にもせず、切迫した様子で尋ねた。

北村忠は唇を噛みしめ、感情を抑えようとしているようだった。「手術室です」

「赤ちゃんが危険なの?」広橋香織が聞いた。

北村忠は頷いた。

彼は道明寺華が銃創を負っただけだと思っていた。

しかし誰が知っただろう、医師が道明寺華にエコー検査で赤ちゃんの状態を確認しようとした時、彼女はすでに出血していたとは。

出血だけではなかった。

お腹も痛がっていた。

くそっ!

道明寺華は一体どうやってこれまで耐えてきたのか。

彼女が自分の経験したことを医師に話した時、医師でさえ妊娠六ヶ月の女性がこんなことをするなんて信じられないと言っていた!

北村忠は傍らでそれを聞きながら、医師が眉をひそめてエコー検査をする様子を見て、その瞬間自分を殺してしまいたいほどだった。

自分は人でなしだと思った!

一体どうして道明寺華をあんな危険な場所に行かせてしまったのか?!

「医師は何て言ってるの?」広橋香織の表情は極めて深刻だった。

「胎児の心拍が良くないと。最善の方法は帝王切開での早産だけど、それでも赤ちゃんの安全は完全には保証できないと...」北村忠は言いながら、本当に自分を殺してしまいたくなった。

広橋香織は彼を厳しく見つめた。

北村忠は言った。「こんなことになるなんて、本当に知らなかったんです!」

「忠、私はずっと、息子がどんなに遊び人で、どんなに不真面目で、どんなに軽率でも、少なくとも心は優しく、少なくとも価値観は正しいと思っていた」

北村忠は拳を強く握りしめ、必死に感情を抑えようとしていた。