第377章 広橋香織、誰がこの結婚に愛がないと言った?!

北村雅は車を運転して別荘に戻った。

広橋香織は助手席に座り、ずっと窓の外を見ていた。

北村雅は何度か話しかけようとしたが、広橋香織の様子を見て結局何も言えなかった。

車内は静まり返っていた。

広橋香織は眠るつもりはなかった。

しかし一晩中起きていたことと、北村雅がゆっくり運転していたこともあり、広橋香織はあまりにも眠くて、目を閉じるとすぐに眠りについた。

北村雅が車を別荘の玄関前に停めた時、横を向くと広橋香織が眠っているのが見えた。

彼女は小柄というか、むしろ愛らしい体つきだった。

彼女は助手席に体を丸めて、頭を横に傾け、顔を静かにシートの背もたれに寄せていた。唇は軽く閉じられ、深い眠りについているようだった。

北村雅はずっと彼女を見つめていた。

彼女の唇を見つめながら、口紅のせいだろうか?