第378章 村上紀文の裁判、彼の惨めな姿

「しかし、村上紀文は被害者が気を失った後で包丁を手に取り、松本泰弘を殺害したのです」斎藤咲子の声が、厳かな法廷に響き渡った。

その瞬間、全員が斎藤咲子を見つめ、彼女の言葉の意味を慎重に反芻しているようだった。

弁護人は興奮した様子で席から立ち上がり、「斎藤咲子さん、よく考えてください。被害者は本当に気を失っていたのですか?今おっしゃることは全て法的効力を持つものです。一切の不確実性があってはなりません!」

「弁護人は発言に気をつけてください。証人を威圧したり刺激したりしてはいけません!」裁判長は厳しく言い放った。

弁護人は我慢して、自分の席に戻った。

斎藤咲子は一字一句はっきりと言った。「はっきりと覚えています。被害者が気を失った後で、村上紀文が包丁を手に取って殺害したのです」

「嘘よ!」傍聴席にいた渡辺菖蒲が突然興奮して叫んだ。「斎藤咲子、あなた嘘をついているわ。明らかに格闘中に村上紀文が自己防衛で松本泰弘を殺したのよ。あなたは村上紀文があなたの感情を弄んだことへの復讐のために、わざと嘘をついているのよ!」

「静粛に!」裁判長は渡辺菖蒲に向かって言った。「法廷内での大声は禁止です。もう一度同じことをすれば、警備員が退廷させます!」

渡辺菖蒲は我慢して、怒りを抑えながら席に座った。

「証人は補足することはありませんか?」裁判長が尋ねた。

「ありません」斎藤咲子は答えた。

「検察側は証人に質問することはありませんか?」

「ありません」検察官は丁重に答えた。

「裁判長、目撃証人に数点質問させていただきたいのですが」弁護人が自ら申し出た。

裁判長は躊躇した。

「本件には多くの疑問点があり、目撃証人の回答が必要です」

「許可します」

「斎藤咲子さん」弁護人は彼女を呼んだ。

斎藤咲子は彼を見返した。

「あなたと村上紀文は義理の兄妹の関係ですね?」弁護人は尋ねた。

「はい」

「あなたが幼い頃、お父様が村上紀文と母親の渡辺菖蒲さんをあなたの家に連れてきたのは事実ですね?」弁護人は質問を続けた。

「はい」