第379章 彼女の結婚は北村忠が18歳の時に終わっていた

村上紀文の判決のニュースは、東京中に広がっていた。

誰もが、村上紀文が正当防衛で斎藤咲子を守るために人を殺したと思っていたのに、過剰防衛の罪で3年6ヶ月の刑を言い渡されたことに驚いていた。救われた当の本人が、過剰に人を殺したと断言したことは、誰も予想していなかった。

ニュースのコメント欄には「女は怖い、男なんて目じゃない!」という声が上がっていた。

斎藤咲子がその典型的な例だと。

村上紀文がどんなに冷酷でも、斎藤咲子のことを忘れられないのに、斎藤咲子は忘れると言ったら本当に忘れてしまうのだと。

斎藤グループ社長室。

斎藤咲子は椅子に座り、冷ややかにニュースを見つめていた。

全てのコメントに目を通していた。

彼女が冷酷だと言う声を見ていた。

見続けているうちに。

彼女は携帯を置いた。