第386章 広橋香織、私の心を捧げてもいいですか？！

「改めて紹介させていただきます。私は北村英、北村忠の叔母です！」北村英は冬木心に向かって、挑発的に言った。

冬木心はその瞬間、驚愕した！

彼女は信じられない様子で北村英を見つめた。

北村英は冷ややかに皮肉を込めて言った。「私のバカな甥は、あなたのことを本当に愛していて、あなたのためなら死んでもいいと思っているのに、あなたは木村文俊を好きになってしまった。確かに、木村文俊は多くの面で女性の心をつかむのが上手いわ。でも冬木心、あなたはもっとよく人を見極めるべきよ。木村文俊は本当にあなたのことを好きなの？よく見てごらんなさい、彼が本当に好きなのはあなたなの？それとも彼のキャリアや将来なの？」

冬木心の目が真っ赤になった。

彼女は必死に涙をこらえようとした。

こんな男のために泣くなんて価値がない、と自分に言い聞かせた。

彼女は冷たく言った。「木村文俊、私が目が見えていなかったのよ！私が物事を見る目がなかった。あなたも私と同じように、かつての純粋さと情熱を持ち続けていると思っていたなんて！あなたがそんなにもキャリアと将来を大切にするなら、そのためなら尊厳も道徳も捨てて、自分の息子より年上の女性と関係を持てるなんて、私の負けを認めます。あなたに関して、私は完全に見誤っていました。こんなにも吐き気がするほど低俗になれるとは、想像もできませんでした！」

「心……」

「呼ばないで！」冬木心は叫んだ、とても大きな声で。「これからは、完全に縁を切ります！」

「心、そんな風に言わないで、私がしたことには全て理由があるんだ、信じてくれ、信じてくれ……」そう言いながら木村文俊は、北村英が腕を掴んでいるのを振り払おうとして、冬木心に近づこうとした。

しかし北村英は更にきつく彼の腕を掴んだ。

木村文俊は振り払えず、かといって力づくで振り払うこともできなかった。

北村英は木村文俊に向かって脅すように言った。「もし私を振り払おうとしたら、今日のあなたの個展はここで終わりよ。私はあなたを東京で社会的に抹殺して、二度と這い上がれないようにしてやる。信じる？信じない？」

木村文俊は体が硬直した。

その瞬間、まったく抵抗しなくなった。

冬木心はただそれを見つめていた。木村文俊が突然妥協する様子を。

本当に皮肉だと感じた。

本当に皮肉なことだった。