冬木空は突然立ち上がり、厳かな法廷で、一言一言はっきりと言った。「私には、この事件の真犯人が鈴木知得留ではなく……という有力な証拠があります」
全員が冬木空を見つめていた。
青木晴人、金田貫一。
冬木郷、斎藤咲子。
楠木観月、秋山静香。
楠木天理、秋山文雄。
その場にいる全員が、彼をそのように見つめていた。
明らかに。
青木晴人の全身が緊張し始めた。
冬木空について、この男について、いつも、動かなければ動かないが、一度動けば人々を驚かせるようだった。
彼は深く息を吸った。
必死に自分の感情を抑えようとしていた。
彼もなぜ冬木空がこれほどまでに人に圧力を与えることができるのか分からなかった。
認めたくはないが、心の奥底では羨ましかった。いつになったら、いつになったら自分も彼のような存在感を持てるのだろうか。わざと自分の存在をアピールするのではなく、彼が一言話すだけで、その場の焦点に、全員の注目の的になれる、そんな魅力で全ての人を引き付けることができる、そんな存在感を。