翌日。
午前10時10分。
道明寺華が配信ルームに現れた。
虎の調子が今日はあまり良くなかったので、10分遅れた。
配信を始めるなり謝罪した。「すみません、今日は息子が少しうるさくて、遅れてしまいました」
「もういいよ、みんな待ってたから、早くJoe様と繋いで!」
「早く早く、Joe様の方は10分前から待機してるよ」
「道明寺華、頑張って!Joe様を征服できますように」
配信開始と同時に、コメント欄が荒れ狂った。
この配信、道明寺華とJoeのコラボは、金魚配信プラットフォームの視聴率の80%を占めているという。
道明寺華は急いで操作して、Joeと接続した。
二人は自由に会話できるようになった。
Joeが「華さん、こんにちは」と言った。
とても自然な挨拶で、声は心地よかった。
多くの人がJoeの配信を見るのは、彼の凄腕な操作だけでなく、特に魅力的で心地よい声のせいでもあった。配信のコメント欄は「耳が妊娠しそう」という言葉で埋め尽くされていた。