翌日。
午前10時10分。
道明寺華が配信ルームに現れた。
虎の調子が今日はあまり良くなかったので、10分遅れた。
配信を始めるなり謝罪した。「すみません、今日は息子が少しうるさくて、遅れてしまいました」
「もういいよ、みんな待ってたから、早くJoe様と繋いで!」
「早く早く、Joe様の方は10分前から待機してるよ」
「道明寺華、頑張って!Joe様を征服できますように」
配信開始と同時に、コメント欄が荒れ狂った。
この配信、道明寺華とJoeのコラボは、金魚配信プラットフォームの視聴率の80%を占めているという。
道明寺華は急いで操作して、Joeと接続した。
二人は自由に会話できるようになった。
Joeが「華さん、こんにちは」と言った。
とても自然な挨拶で、声は心地よかった。
多くの人がJoeの配信を見るのは、彼の凄腕な操作だけでなく、特に魅力的で心地よい声のせいでもあった。配信のコメント欄は「耳が妊娠しそう」という言葉で埋め尽くされていた。
「こんにちは」道明寺華は丁寧に返した。
Joeに対して、特に媚びるような態度はなく、普通の人との会話のように接していた。
コメント欄がまた爆発した。
「道明寺華がJoe様に対してなんでそんなに冷静なの」
「道明寺華、女じゃないの?Joe様に選ばれて興奮しないの?」
「道明寺華、うちのJoe様にもっと敬意を示して...」
道明寺華は基本的にコメントを見ていなかった。
彼女はJoeに「始めましょうか?」と言った。
「5V5ですか、それとも1V1?」
「どちらでも構いません」
「まずは5V5で」
「はい」
二人はそれぞれランダムに対戦チームに入った。
ゲームが始まると、配信ルームはさらに盛り上がった。
その試合は本当に二人の超絶プレイヤーの完璧な操作を見るだけだった。通常20分で終わる試合が1時間も続き、両チームとも水晶が一つ残っているのに、まだ決着がつかなかった。
ランダムマッチングされたチームメイトたちは呆然としていた。
どんな神様級のチームメイトに出会ったのか、水晶が最後の一滴の体力しか残っていない状況でも、ペンタキルで逆転できるなんて。
最後には、他のプレイヤーたちはほとんど戦わなくなり、チームメイトの操作を鑑賞するだけになっていた。