第497章 彼は、華への感情に気付いてしまった(1)

鈴木知得留は冬木心という女性の心に問題があると、ますます感じるようになっていた。

冬木心に初めて会った時、この女性は冷たくて高慢ではあったものの、今ほど嫌な存在ではなかった!

特に、メディアで道明寺華について勝手なことを言っているのを見た時は、息が詰まりそうになったが、冬木空は冬木心に自分を立て直す時間を与え、一時的に追及を控えるように言った。おそらく冬木空も、冬木心が過去の傷を受け入れられるように時間を与えているのだろう。

彼女は以前から考えていた。北村忠が突然結婚式に現れなかったのは、確かに冬木心のことを本当に好きで、おそらく冬木心という女性に誘惑されたのだろうが、北村忠がどんなに遊び人でも他人を傷つけることを前提に遊ぶような人間ではないはずだ。道明寺華との結婚を決めた以上、道明寺華を結婚式場に置き去りにして姿を消すようなことは考えていなかったはずだ。何か事情があったのではないか、冬木心に何か事情があって北村忠が責任を取らざるを得なかったのではないかと考えていた。

後に冬木心が井上明に凌辱された事件が明るみに出て、すべてが分かった。

北村忠というバカは、すべてが自分のせいだと思い込み、冬木心に対して強い罪悪感を抱いた。そこに幼い頃からの冬木心への思いが根付いていたため、そのような状況下で仕方なく道明寺華と別れることを選んだのだ。

彼女は、北村忠の冬木心への感情はもはや純粋なものではないと感じていた。

北村忠のことを知る彼女からすれば、冬木心がメディアで道明寺華についてでたらめを言うのを、北村忠は絶対に見過ごせないはずだ。彼はそういう性格で、善悪をはっきりさせる人間だ。しかし冬木心がそのように道明寺華について言っても、北村忠はメディアで一言も反論せず、その場にいた時も沈黙を選んだ。ただ北村忠は冬木心を受け入れ続け、自分のすべての忍耐を使って際限なく彼女を受け入れている。それはもはや愛ではなく、ただの受容だ。

愛があれば、相手にも自分と同じようになってほしいと願い、相手に要求するはずだ!十分な愛がないからこそ、際限なく寛容になり、相手のすべてを受け入れるのだ。

鈴木知得留はここまで考えて、思わずため息をつきながら言った。「北村忠はもう冬木心のことをそれほど好きではないのかもしれないわね。」

「好きよ。」道明寺華は真剣に答えた。