第496章 北村忠は冬木心のもの、彼の金も(3更)

道明寺華は北村系を離れた。

彼女は自分の車で運転することにこだわった。銀行の車を使って行き来するのが面倒だと思っただけだ。

彼女はそのままSUVを運転し、静かに道路を走っていた。

彼女は本当に平静だと感じていた。北村忠と冬木心のすべてを受け入れられると思っていた。何の感情も動かないはずだった。でも、この瞬間、この瞬間、頭の中は北村忠と冬木心がキスをしているシーンでいっぱいになった。

はっきりとは見えなかった。ドアを開けた瞬間に二人は離れたからだ。

でも、想像することはできた。

北村忠がプロポーズした時のことを覚えていた。あの時も、北村忠は彼女にこうしてキスをした。

すっかり忘れたと思っていたのに、あの時の胸の高鳴りを思い出すことができた。

彼女は唇を噛んだ。

黙々とすべてを受け入れ、黙々とそれらを消化しようとした。消化するのが難しいと感じながらも、消化せざるを得ないことを。