第346章 離間を煽る(1)協力関係の再構築

フォーシーズンホテル。

最上階のレストラン、VIP個室。

冬木空と陸田和樹、そして松本未央が一緒に夕食を取っていた。

食卓で。

陸田和樹が口を開いた。「奥様を呼ばなかったのはなぜですか?」

「今のところ、彼女には知らせたくないことがあるので。」

「夫婦間に隔たりがあるのは良くないですよ。」陸田和樹は笑いながら、それ以上は触れなかった。

冬木空は軽く頷いた。

「前回、あなたが北洋国に来て直接私を訪ねてきた時、ジェームズグループの件について話しましたね。義姉がちょうどジェームズグループと近々チャリティーパーティーがあるので、問題なく進むはずです。」

「ありがとうございます。」冬木空は率先してワイングラスを手に取った。

陸田和樹も彼とグラスを合わせた。

松本未央も礼儀正しくワイングラスを持ち上げた。

三人は赤ワインを飲んでいた。

陸田和樹の言う通り、鈴木知得留が投獄された時、彼は東京を離れて加害者を追跡するという名目で、実際には人目を避けて北洋国へ行き、陸田和樹に密かにジェームズグループとの交渉を手伝ってもらっていた。日本国にとって、このような大きな経済区の建設を失うことは巨大な損失であり、商業管理機構の理論上唯一の相続人として、このような事態で商業管理機構を千古の遺憾とすることはできなかった。さらに重要なのは、商業管理部が日本国の経済に多大な損失をもたらし、名誉に関わる問題が絡んでいるため、政府に商業管理部を攻撃する口実を与えかねず、得策ではなかった。

最大の損失を回避し商業管理部の名誉を守ることは、青木家の千古の家訓であり、彼には避けられない責任だった。

幸いにも、陸田和樹とは親交が深く、原則に反しないことであれば、通常は断らなかった。

「今回の来訪は、一つにはジェームズグループが我が国の経済商圏に進出する件を解決するためであり、もう一つは、貴国がチャリティー事業にあまり参加していないので、義姉も貴国が世界的なチャリティー機構に参加する意向があるかどうか、実地調査に来たいと考えているからです。」陸田和樹は率先して言った。