第418章 氷解、中年男の春

「そうだ、そうだ、私はバカだ。バカだからこそ、こんなに長い間禁欲生活を送りながらも、あなたを狂おしいほど愛してしまうんだ!」北村雅は激しく言い放った。その瞬間、彼も少し取り乱して、開き直ったような態度を見せた。

広橋香織は彼を見つめ、その瞬間、口まで出かかった言葉を飲み込んだ。

北村雅も彼女を見つめ返し、この瞬間、まるで彼女の答えを求めているかのようだった。

彼は自分に言い聞かせた。後退りも恐れもしないと。どうせ、どうせ広橋香織がどんな答えを出そうと、彼はこの人生を賭けると決めていたのだから。

そうして突然静かになった二人。

広橋香織はゆっくりと口を開いた。「林夢がしたことを早く私に話してくれていれば、私たちはこんな風にはならなかったはずよ。」

北村雅は一瞬固まった。