北村邸。
翌日、北村忠は欠伸をしながら、伸びをして階段を降りてきた。
道明寺華も起床した。
虎は最近夜中にほとんど授乳を必要としなくなったため、道明寺華も徐々に通常の生活リズムを取り戻し始めていた。
二人は食堂へ向かって朝食を食べに行った。
その時。
北村雅と広橋香織も階上から降りてきて、直接食堂へ向かった。
北村忠は両親を見て、思わず尋ねた。「妹は大丈夫?」
「何を言っているの!」広橋香織は顔を曇らせた。
「じゃあ、昨夜そんなに慌てて出かけたのは、病院に行ったんじゃないの?」
「あなたが考えているようなことじゃないわ」広橋香織は珍しく説明した。「食事をしなさい。食べ終わったら早く出勤しなさい。家にはこんなにたくさんの人があなたに養ってもらうのを待っているんだから、しっかりしなさい!」
「……」くそ、急にプレッシャーがかかってきた。
北村雅は黙って食事を続けた。
道明寺華も静かに食べていた。
本来なら非常に和やかなはずの食卓が、突然...うん、様変わりしてしまった。
北村忠は両親を見つめていた。水と油のように相容れず、お互いを見るのも目障りだったはずの両親が、こんなにイチャイチャするのは一体どういうことだ?!
父が母のために卵の殻を剥き、剥き終わると自ら母の口元まで持っていって食べさせているのを見ていた。
明らかに母はあまり好まないはずなのに、その瞬間突然口を開いて、一口一口食べ始めた。
食べている間、父は母の椀の中の野菜粥を冷ましていた。
以前なら。
母は父の唾液を嫌がっていたはずなのに。
今は、今はどういう状況なんだ?
彼は目を丸くして見つめていた。
北村忠だけでなく、道明寺華もその時、彼らの行動が普段とは違うと感じていた。
二人の視線がそのまま露骨に彼らに向けられていた。
視線を感じた北村雅は息子を見ることもなく、妻に夢中で、冷たい声で言った。「自分の食事に集中しろ。どこを見ているんだ!」
「これは...何をするつもりなの?!」
「そんなにいろいろ気にすることはない」
「ぞっとするよ。突然こんなに夫婦仲良くなって、これは私が知っている両親なの?もしかして二人とも何かに取り憑かれたんじゃない?家の風水が何か問題を起こしていないか、風水師を呼んで見てもらったほうが...いてっ!」北村忠は頭を抱えた。