北村系の社長室。
山田康は北村忠の言葉に驚き、30秒も言葉が出なかった。
彼は目を丸くして北村忠を見つめていた。
北村忠も相手の反応を待つように、せかすことはなかった。
しばらくして。
山田康は興奮気味に言った。「本当ですか?」
「冗談ではないと言いましたよ」
「『天の堂』の制作費を出してくれるんですか?」
「ええ」北村忠は頷いた。「北村系は様々な番組を制作していますが、ドラマや映画だけは手をつけていません。以前からドラマ制作に参入したいと考えていたのですが、良い機会がなかったんです。今回、あなたは資金が必要で、私は人材が必要。これほど良い機会はありませんよ」
山田康は言葉にできないほど興奮していた。
彼は監督の方を振り向いた。
監督も興奮した表情を浮かべていた。
山田康は不安そうにまた尋ねた。「北村会長、私をからかっているんじゃないですよね?」