第425章 恋心芽生、波乱万丈(3)

「たぶん...私があなたのことを好きだからかもしれません」

言葉が落ちた。

北村忠の大きないびきが聞こえてきた。

北村忠は普段あまりいびきをかかない。

きっと疲れているのだろう。

彼女は疲れているときにいびきをかきやすいと聞いた。

彼女は両手を放した。

指が少し柔らかくなっていた。

彼女は手首を動かし、うつ伏せになっている北村忠を仰向けにし、ゆっくりと眠れるようにした。

北村忠は寝つきが良くなると、習慣的に手を伸ばして道明寺華を探した。

道明寺華は急いでその腕の中に横たわった。

北村忠は道明寺華を抱きしめ、さらに深い眠りについた。

道明寺華はかえって不眠気味だった。

最近なぜか、胸の中に何か奇妙な感覚があり、北村忠を見るたびに言い表せない感情が湧いてくる。

きっと好きなのだろうと思った。