「たぶん...私があなたのことを好きだからかもしれません」
言葉が落ちた。
北村忠の大きないびきが聞こえてきた。
北村忠は普段あまりいびきをかかない。
きっと疲れているのだろう。
彼女は疲れているときにいびきをかきやすいと聞いた。
彼女は両手を放した。
指が少し柔らかくなっていた。
彼女は手首を動かし、うつ伏せになっている北村忠を仰向けにし、ゆっくりと眠れるようにした。
北村忠は寝つきが良くなると、習慣的に手を伸ばして道明寺華を探した。
道明寺華は急いでその腕の中に横たわった。
北村忠は道明寺華を抱きしめ、さらに深い眠りについた。
道明寺華はかえって不眠気味だった。
最近なぜか、胸の中に何か奇妙な感覚があり、北村忠を見るたびに言い表せない感情が湧いてくる。
きっと好きなのだろうと思った。