第450章 北村忠は冬木心の接近を拒否（4）

「道明寺華、早く結婚しよう」

道明寺華は北村忠をじっと見つめていた。

突然玄関先に現れた北村忠が、急いで真剣に、そして厳かに彼女に告げた。早く結婚しようと。

彼女はもう結婚式もないかもしれないと思っていた。

彼女は何も言えなかった。どう答えていいのか分からなかった。

北村忠は近づいて、「早く結婚式を挙げたい。みんなに私たちが結婚したことを知ってもらいたい」

道明寺華は北村忠が何かショックを受けたのかと思った。

たった今、彼は冬木心を見捨てることはできないと言ったばかりではなかったか？一生できないと。

なのに今、なぜ急に早く結婚したいと言い出すのか？

理解できなかった。

師匠は外の人は複雑だと言っていた。

彼女は、師匠の言う以上に複雑だと感じた。

彼にどう答えていいのか分からなかった。

「日取りを決めるから、心の準備だけしておいて。他は全部僕に任せて」北村忠は急いで言った。

とても焦っているようだった。

彼が何を焦っているのか分からなかった。

結婚式がなくなることを恐れているのだろうか？

でも、なぜ彼が恐れる必要があるのか？

心配すべきなのは、彼女の方ではないのか？

「どうしたの？」道明寺華は思わず尋ねた。

突然、どうしたというのか。

「ただ結婚したくて、結婚式を挙げたくて仕方がないんだ」

「でも冬木心は...」

「もう冬木心はいない」北村忠ははっきりと言った。「これからは冬木心はいない。僕と、君と、虎だけだ」

道明寺華にはまだ理解できなかった。

北村忠が何かに取り憑かれたのではないかと疑った。

「すぐに結婚の日取りを公表する。来週だ。来週の日曜日に決めた。日柄がいいとか悪いとか関係ない。とにかく結婚式を挙げるんだ！」

道明寺華は呆然と彼を見つめた。

本当にそんなに急ぐ必要があるのか？

北村忠の変化があまりにも大きすぎると感じた！

北村忠は突然道明寺華の頬を両手で包み、唇にキスをした。

道明寺華の頬が少し赤くなった。

北村忠は言った。「この数日はゆっくり休んで。特別綺麗になれとは言わないけど、少しでも見栄えよくなれたらそれでいい」

道明寺華は黙ってうなずいた。

どうせ。

北村忠の言うとおりにすればいい。

彼女は従順であることに慣れていた。