生放送スタジオ。
出場選手たちは慌ただしくステージから去っていった。
生放送は突然バックステージに切り替わり、そこでは数人の出場選手が先ほどの突然の暗闇で互いにぶつかり合い、言い争いから喧嘩に発展してしまった。それがすべて視聴者の目の前で放送されてしまった。
緊急にステージに視点を戻すと、司会者が必死に場を繕っていた。
その瞬間、カメラはまた無造作に切り替わり、スター審査員がスタッフと言い争っている場面が映し出された。現場は完全に混乱し、もはや収録を続けることはできない状態だった。
司会者ももう進行できなくなっていた。
司会者は突然、場を繕う態度から率直な批判へと変わった。「これは私が見た中で最悪の制作チームです。生放送だと知っていながら何の対策も用意せず、問題を解決する能力も全くない。今や表も裏も全て混乱状態です。音響、照明、カメラマン、現場スタッフの誰一人として臨機応変に対応できる能力がない。このような番組は、もう司会を続けることができません。私は降板を宣言します。」
そう言い終わると。
マイクを床に置いて、ステージを去っていった。
現場は混乱の極みだった。
北村忠はまだ後方の放送室に座り、この混沌とした状況をただ見つめていた。
彼は実は予想していた。
井上明は北村系の利益を損なってでも、絶対に彼を見逃すことはないだろうと。
傍らで加賀玲奈は焦りのあまり死にそうだった。彼女は我慢できずに言った。「社長、このままでいいんですか?これは生放送ですよ。何か挽回する手段を取らなくていいんですか?司会者まで帰ってしまって、これじゃ生放送できませんよ。」
北村忠は答えず、表情は淡々としていた。
加賀玲奈は完全に崩壊しそうだった。
彼女は北村忠の隣にどっかりと座り、もはや立場も地位も気にしていなかった。どうせ、死ぬなら死んでしまえと。
彼女の社長は、トラブルを起こすことなど全く恐れていなかったのだから!
その時、井上明のオフィスでは。
井上明は目の前の映像を見て、抑えきれない笑みを浮かべていた。
「本当に滑稽だな。これは日本国史上、最も滑稽な番組だろう。現場がここまで混乱するなんて、今でも生放送を続けているなんて、途中で中止する判断もできないのか?!北村忠は恐怖で頭が真っ白になったに違いない!」