第458章 やはり事件が起きた(3)

翌日。

北村忠と道明寺華の結婚式の日。

昨夜の『天の堂』オーディション番組の高視聴率と、北村忠への高評価は今日の結婚式まで続き、ネット上では盛り上がりを見せ、全ネットユーザーが自発的に北村忠を祝福し、さらには北村忠の結婚式スタンプが作られ、ネットで大人気となった。

北村忠は朝の4時過ぎに起こされた。

彼には分からなかった。メイクもほとんどせず、着替えも髪型も特に気にする必要がないのに、なぜこんなに早く起きなければならないのか。

彼は乱れた髪をかきながらベッドから起き上がり、鏡に映る明らかに元気いっぱいのイケメンを見つめた。

疲れているはずなのに?昨夜はなかなか寝付けなかったのに、今朝はなぜこんなに輝いているんだ?!

まさに、めでたい時は心も晴れ晴れというものか!

まあいい。

彼は少し興奮していることを認めた。

今日は会場で一番かっこよく決めることを考えると、うきうきした気持ちを抑えられなかった。

身支度を済ませ、口笛を吹きながらのんびりとバスルームを出て、手に取った携帯の電源を入れた。

無数の不在着信が表示された。

北村忠は一瞥すると、ほとんどが井上明からのものだった。

昨夜の井上明がどれほど焦っていたかを想像すると、なんとも言えない快感を覚えた。

適当にスクロールして携帯を置こうとした瞬間、冬木心からのメッセージを見つけた。そこには一枚の写真が添付されていた。写真には冬木心が写っていた。誘拐された冬木心が、手足を椅子に縛られ、恐怖に満ちた表情を浮かべていた。

北村忠の表情が一変し、携帯を持つ手が震えた。

すぐさま井上明に電話をかけ直した。井上明がここまで卑劣な手段を取るとは想像もしていなかった。まさか冬木心を誘拐するなんて。

怒りを抑え、人を殺したい、狂ったように発散したい怒りを必死に抑えた。

相手は電話に出ず、切られてしまった。

北村忠には分かっていた。井上明が意図的に報復しているのだと。

昨夜の電話を切ったこと、電源を切ったことへの報復だ。

彼は部屋から飛び出した。

広橋香織もほとんど一晩中眠れなかった。興奮と不安が入り混じり、何か問題が起きないかと心配だった!