第460章 彼は結局、華を裏切った(2)

病室の中。

北村忠は入り口に立ち尽くしていた。

彼の胸が痛かった。

なぜなのか分からなかったが、冬木心が愛していると言った瞬間、胸が刺されるように痛んだ。

待ちすぎたからなのか、それとも...彼の人生に別の女性が入ってきたからなのか。

愛していなくても、責任はあった。

選択は難しかった。

辛かった。

体が緊張していた。

冬木心も彼をそのように見つめていた。

彼の姿を見つめていた。

彼女は北村忠が苦しんでいることを知っていた。

もし彼が残ることを選べば、道明寺華を裏切ることになる。

もし彼が去ることを選べば、彼女を裏切ることになる。

彼をこんなに苦しめたくはなかったが、北村忠が去って別の女性と結婚するなんて受け入れられなかった。

認めよう、彼女は恋愛において卑怯な手を使った。自分の悲惨な境遇を利用して、深く愛する男性を取り戻そうとした。