第478章 情においても理においても、彼は責任を取るべきだ（1）

井上明が去った後。

北村忠は冬木空に電話をかけた。

「井上明は激怒していたよ」北村忠は少し得意げだった。

ずっと彼と比較されてきたが、このように井上明を皮肉り、負けを認めさせることができた。この感覚は前代未聞の爽快さだった！

北村忠の興奮に対して、冬木空はただ淡々と応えた。「分かった」

「これからどうするつもり？」

「井上明を監視する。青木晴人は必ず動くはずだ」

「私に何かできることは？」

「お前自身の面倒な問題を解決しろ」

「私にどんな問題があるんだ？」北村忠は少し不機嫌になった。

「恋愛だ」冬木空は二文字を投げかけた。

「……」うまくいっているじゃないか！

北村忠は黙っていた。

冬木空は言った。「結婚は遊びじゃない。よく考えろ」

どう考えればいいんだ？！

彼は何でもないように言った。「俺は何年も白川心のことが好きだったんだ！記憶の中からずっとこの女性が好きで、やっと結婚できるんだ。何を考える必要がある？」

冬木空は冷笑したような声を出した。

そして、電話は切れた。

北村忠は携帯を持ったまま呆然としていた。

彼はそのままオフィスに座っていた。

まるで魂が抜けたような状態だった。

彼は冬木心のことを何年も好きだった。

本当に彼女のことを何年も好きだった。

この数日間の葛藤は、最近あまりにも多くのことが起きたからこそだ。この時期が過ぎれば、お互いが落ち着けば、きっとうまくいくはずだ。

彼は椅子から立ち上がり、大きな窓に向かって歩き、東京の街を見つめた。

ぼんやりと。

オフィスのドアがノックされた。

「どうぞ」

加賀玲奈がドアの外から入ってきた。

北村忠は振り向かなかった。

加賀玲奈は口を開いた。「社長、ニュースが……」

加賀玲奈は、最近自分がまるでニュースゴシップの伝達者になったような気がした。

社長は一日に三回もヘッドラインを飾る人になってしまった！

北村忠はどんなニュースかを察していた。

一度冬木心の件が法的手段で解決されることになれば、一度それが公になれば、メディアは大騒ぎになるだろう。

加賀玲奈は北村忠に反応がないのを見て、思わずまた促した。「冬木お嬢様についてです」

「知っている」