北村忠は動画を見ながら、本当に怒り爆発しそうだった。
この男どもを殺してやりたい!
運転手は北村忠の今の感情状態が分からず、車を路肩に停め、恭しく言った。「社長、薬局に着きました。」
北村忠はまだ怒りに震えていた。
我慢に我慢を重ねて、怒りのままに動画を閉じた。
運転手は北村忠が何の反応も示さないのを見ていた。
確かに乗車時、社長は薬局を見つけたら止まるように言っていたはずだ。
運転手は少し困惑した。
もしかして、聞き間違えたのだろうか。
発車するか迷っていた瞬間、社長が突然ドアを開けるのが見えた。
北村忠はドアを開けたものの、すぐには薬局に入らず、タバコを一本取り出して吸い始めた。
今の心の動揺を抑えるのは本当に難しいと感じていた。
彼は激しくタバコを一本吸い込んだ。
そして電話を取り出して掛けた。「加賀玲奈。」
「社長。」向こうは泣きそうな声だった。
もう帰宅していたのに電話が来るなんて、ゆっくり美容睡眠を取ることもできないのか、毎日こんな残業を命じられて、もう限界だと思った。
「明日、銀行で500万円振り込んでくれ。後でアカウントを送る。」
「はい。」向こうはすぐに承諾した。
まだ明日のことで良かった。
北村忠は長い間探して、やっと以前道明寺華のライブ配信用に開設した銀行口座を見つけ、口座番号を加賀玲奈に送った。
そうして長い時間が経ち、北村忠はようやく少し落ち着きを取り戻した。
彼は薬局に向かって歩き出した。
そう、コンドームを買いに来たのだ。
冬木心の言う通りだ。これだけ同棲しているのに、まだソファで寝ているなんておかしな話だ!
実際、彼は本当に冬木心の気持ちを考えていた。彼女が経験したことを乗り越えられないかもしれないと思い、強要しないようにしていた。
とはいえ、本当に不思議だった。冬木心と同室になることを我慢できているなんて。心の奥底では、とても期待していたはずなのに。
この瞬間、どんな気持ちなのか言い表せなかった。
しかし冬木心が切り出した以上、男として、こういう事で受け身になるべきではない。
24時間営業の薬局の中で。
北村忠は適当に一箱選んだ。