第500章 罠にかかる（その1）

青木晴人は鈴木知得留が良からぬ考えを持っていると感じていた。

しかし、鈴木知得留の考えは非常に周到だったことは否めなかった。

他の人々も同意し始め、鈴木知得留の提案は良いと感じていた。

鈴木知得留は続けて言った。「二つの案があります。一つ目は企業や個人に直接現金で補助金を出す、つまり現在の市場価格に基づいて補償する。二つ目は企業や個人に優遇措置を与え、3〜5年間のオフィススペースと住居を無料で提供するというものです。」

青木晴人は考えていた。鈴木知得留の言っていることは一体何のためなのかと。

今の彼は鈴木知得留の言うことにもっともな点があると感じていたが、鈴木知得留という人物が自分に対してどれほどの敵意を持っているかを知らないほど愚かではなかった。鈴木知得留が誠心誠意自分を助けようとしているとは思えなかった。

鈴木知得留が自分の考えを述べ終わった後、青木晴人が何の返事もしなかったため、会議の場は少し硬くなっていた。

誰も青木晴人の代わりに決定を下すことはできず、皆はただそこで待っていた。彼の決定を待っていた。

青木晴人は本当に板挟みになっていた。以前なら金田貫一に相談することもできたが、今は誰に相談すればいいのかわからなかった。

しかし、これからは自分の言うことが全てになり、金田貫一の顔色を伺う必要もないと思うと、急に気分が良くなった。

彼は深刻な表情を装って高橋会長に言った。「高橋会長、どう思われますか？」

高橋透は急いで答えた。「青木さん、私は鈴木部長の案が適切だと思います。再開発による立ち退きは本来とても面倒な問題です。今回我々は東京を再計画し、商業パークを商業地区に集中させようとしています。多くの企業に移転してもらうには、確かに何らかの優遇措置を提供すべきです。個人的には二番目の案を支持します。どうせ商業地区は我々商業管理部が出資して建設するものですから、3〜5年間の無料使用を提供しても大きな損失にはなりません。このようにして、企業が移転の際に新しい場所を探すための多額の費用を負担せずに済み、また彼らが自発的に我々の商業地区に移転し、他の場所を選んで東京の街並み計画の妨げにならないようにすることができます。鈴木部長の案は素晴らしいと思います。」

青木晴人はためらっていた。